Valentaine Day






甘い季節が近づいてきました。
あと二週間。甘い季節が近づいています。
2月14日――バレンタインは大好きな人と一緒にチョコを食べる日です。
彼の驚いたり喜んだりする顔がみたいから私は手作りチョコを毎年作っています。
でも、今回は私の話ではありません。

チョコがもらえる甘い季節が来日しました。
お姉ちゃんは、うれしそうな恥ずかしそうな、そんな不思議な顔で毎年チョコを作ってくれます。
2月14日までの一週間、毎日チョコを作ってくれます。
ある時 私にそっとささやく。
「女の子はチョコをあげるほうだよ」って。
少し悲しくなってしまい、
「いじわるだな」と思ってしまいました。

そんな出来事が今では昔の話になり 中学生になった私は恋をしました。
あれから何度目の春を迎えたのでしょう。

あなたに・・・壊れそうなこの想い・・・伝える勇気が足りなくて
あっという間に夏が来て、秋が去り。このまま気付かなければ、冬が終っていたかもしれません。

母となった姉が遊びにきました。
2月10日の日曜日。少し早いValentaine Day.
いきなり子連れでやってきて、チョコを作るからと台所を占領する姉と、後ろをついてく女の子。
一緒にお菓子を、チョコレートを作り始めます。コタツで丸くなる私。
TVの音に紛れて声が聞こえてきます。

「結伊。女の子は2月14日に、好きな人にチョコをあげる日なのよ」
「なんで女の子なの?男の子は?」
「なんて説明すればいいんだろう・・・。別に女の子が作らなきゃいけないってわけじゃないけどね」
そこで一旦区切り、
「ようは好きな人に、喜んでもらう日なのよ」

私には関係ないやと、ため息をつき、そのまま眠りに落ちようかというときだった。
「おきて、おきて。おきなさい!」
どれほど寝ていたのだろうか。小さな力、だけど力加減をしらないその力に私は無理やり起こされた。
「な、なになに!?」
なんで起こされたのかわからないのでビックリしながらも聞いてみたら、
「いっしょにチョコレートをたべよう」だとか。
甘いものが好きだし、くれるならもらおうってことで食器の準備をしはじめた。そこへ、
「ちょっと早いけどバレンタインチョコレートね」
と、姉は言い。
「あんたも女なら誰かのためにチョコ作ってみたらどう?」
なんて、嫌な人。だけど今回はちょっと違ったみたい。
「私は自分自身へのご褒美として作ってたりするんだよ。今回も多目に作っちゃった」
とニッコリ微笑む。

季節は巡り、私は大人になってて
たぶん、外見だけじゃなく、心もだいぶ変わってて、
甘い季節がカウントダウンの日々、
甘いもの大好きな女のコに出会いました。
近所に住む女の子。毎朝元気にあいさつしてくれる小学生。
「こんにちわー」
「あら、こんにちわ。今日もこれから塾かな?」
なんて話を展開させて、
「そうだ!」と私はValentaine Day.に向けて作っていたチョコを取り出しその子にあげます。
「ありがとー」という女の子に一言付け加えて。
「女の子はチョコをあげるほうだからね。次は自分で作ってみようか」って。
そしたら、なんとも不思議そうな顔をして黙ってしまう。少しかわいそうであったけど、おかしなことに私は笑ってたみたいです。
昔の私がその子にダブってしまって、微笑み浮かべて抱きしめてた。

なんてすばらしい季節なんだろうって、苦笑いは7年後の2月10日。






『あとがき』
ポエムとして執筆してましたが、『子供の頃の無垢で未熟だった「私」をみて微笑ましく思う』シーンを描こうと思っていたら長くなりました。 
小説とポエムの中間というなんとも中途半端な作品となっているかもしれませんが、ここまで読んでくださってありがとうざいます。
この話はもっとゆったり展開させたほうが面白い話になったかもしれない、と思ったのは書き終わってからのこと。



一言感想もらえるとうれしく思います。

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