連続 ルーズリーフ二枚くらい小説
激烈家族 第4話〜帰ってきた一郎の『新しい』家族〜
僕の家族はやっぱりおかしい。そういう自分も、少しおかしいのかと考えてしまうけど、
家出もせず、結果、家族と一緒に暮らしている――そんな僕もおかしいのだろう。
・・・一郎です。我が家に家族が増えました。といっても、おじいさんとおばあさんではないのでご安心を。
一年前から行方不明になっていた雑種のポン吉。
行方知れずになった当初は泣きじゃくったものだ。
僕の唯一の心の拠り所だったのだから・・・。
「ただいま〜!」
僕は家に帰るのが楽しくなった。
「ポン吉〜」
僕は旅の疲れからチワワのようになってしまったポン吉を抱きしめる。
「僕は今日も生きてるよ〜」
もうわけがわからない。思わず本音が出たのだろう。
「いっちゃん、ただいま・・・。毎日ポン吉と遊んでよく疲れないね」
・・・僕にとっては癒し犬といってもいいのだが、他人から見ると、犬と遊んでいるようにしか見えないらしい。
「一郎、林檎。もうすぐご飯よー。はやくいらっしゃい」
「はーい!」
僕と妹は一緒に叫んだ。
僕の家は、毎週土曜日は肉の日だ。
何の肉かは知らないが、鶏肉だったり、豚肉だったり。もちろん牛肉の日もある。
そういえば、この頃カラスが近所に姿を見せない。巣でも移動したのかな?
「・・・母さん。今日の肉はやけに少ないね?」
なんで?どうして?なにがあったの?というニュアンスをこめて僕の瞳が問いかける。
「ごめんね。今日はお皿いっぱいのからあげだったんだけど、隣の家の人が食べちゃったのよ。今日のオカズはこれだけなのよ。また来週・・・ね」
僕は隣の家のおじいさんとおばあさんを恨む。
――次の日の朝。
「一郎、お弁当忘れてるわよ!」
「お母さん!何度もいうようだけど、学校は給食ってものがあるからっ!」
なぜかキョトンとした顔をしている。まるで「給食なんてものが学校であったなんて初めて知ったわ」みたいな顔だ。
「いいからいいから。ファイト、よ!」
「・・・いってきまーす」
と、ここでふとあることに気付く。ポン吉が・・・。
「母さ・・・、いや、林檎でいいや。ポン吉がいないんだけど・・・」
「はぁ?そこにいるでしょ?そのでっかいのがポン吉よ」
・・・どうみても、ゴールデンリトルバーにしか見えないのがポン吉なのだろうか・・・?
「・・・ぁ。母さん」
ふと思い母に会いに戻る。
「母さん!」
台所に母はいた。
そして僕は、聞く。
「来週の肉の日って。・・・あまるくらい食べられるかな?」
「さぁ。あなたたち次第でしょうね」と微笑んだ。
・・・。
僕が学校から帰りつくころには黒い物体が鎖に繋がれていた。
「一郎。今日も奮発して肉にしちゃった!」
「・・・林檎。あの黒いヤツは・・・」
「ポン吉よ」
「ネコじゃねーか!!」
「博識だね。さすがはいっちゃん!」
どうでもいいからまともなものを食べさせてくれと願う一郎であった。
☆次回予告☆
めんどくさくなったので次回は突然最終話!!
ってかこのお話は私が高校の時に書き上げたヤツですので続きを書いてないだけのことなのですが・・(苦笑)
次は少し大人になった一郎くんのお話。『一郎。修学旅行に行く』の巻です。お楽しみに〜♪