ケンジ



1

家庭訪問が始まり、まだ昼前だというの学生の姿がちらほら見れる。
僕はというといつものように駅で電車がくるまでの一時間をゆっくりと本を見ながら過ごしているはずだった。
え?僕の名前。僕は霧島悠人。16歳で普通高校に通うごくごく普通の男。特技というのものはこれといってないが勉学が学年上位なんで今の僕は優等生と認識されているみたいだ。
頭がよくておとなしい学生は「よい子」に見える大人達。
学校がそういうグループ分けになるのはなんとなくを過ごしている僕らにとっては自然だった。

「藤崎さん遅いな」

僕は暇なときはぼうっとしている。短く刈った髪の毛、学校指定の制服。それが今の僕だ。
僕の学校はネクタイの色でしか学年が判別できないので、時期が時期だけに新入生と間違われることがある。
そんなにおどおどしているのかな僕は・・・・・

2

「名前はなんていうのがいいと思う?」

おそらく妊娠しているのだろう20歳前半の女性が隣に座っている男に話し掛ける。

「そうだな。健太、健介、健吾」
「うふふ。なんだか似たような名前ばっかりね」
「お。気づいてくれたか。実はな健康の健なんだ。やっぱり男の子は元気に育ってもらわないとな」
「あら男の子って決まったわけじゃないでしょ?それにそんないい方したら女の子は不健康でもいいってことなのかしら?」
「おいおい…べつにそんなこといってないだろ」

困った男の顔をみて彼女はクスリと笑う。

「好きにして頂戴。…でも女の子の名前は私が決めるわよ」
「ああ。わかっているよ」

男は渋々いいながら彼女のおなかをチラリとみる。

「女の子だといいわね」

それを聞いて、男はむくれた顔してわざと興味なさそうに

「どうだろう?」と彼女をみる。
「もう!」

ちゃんとした答えが欲しかったのか少し怒ったように頬を膨らませる彼女。
この幸せはずっとつづいてゆくものだと、二人は信じてキスをした。

3

「霧島健二!」

朝。駅のホームで電車を待つ僕の元へ元気な声が届く。

「おはよ〜霧島健二!」

歯切れよく僕の名前を呼ぶ幼馴染の女の子。

「やっぱり麗美ちゃんか…」
「あ!なによその反応は」
「もう遅いかもしれないけど一応いっとくね。僕の名前をフルネームでいうのはやめてくれないかな」
「なんで?」
「あっさりそんなこと言われるとそれはそれでまた困るんだけど」
「私に名前呼ばれるのがそんなにいやなんだ…」
「うん、ていうかね。苗字か名前のどちらかで呼んで欲しいんだ」
「え、なに?じゃあとうとう私達も「レミ・ケンジ」って呼び合う仲になったの?」
「…幼馴染だから別にいいと思うんだけど」
「うーん…」

僕と同い年の河合麗美。今は同じ高校で同じクラス。付き合いは10年になると思うけれど僕は麗美が苦手だ。
どこかで麗美と会うとかならずフルネームで呼ばれる。だから駅にいる人やよく買うCDショップの店員などにも名前がすぐに覚えられてなんだか恥ずかしい。

「…健二」

突然静かな声で麗美がいった。僕を正面から見据えて。
小さな唇が動く。
すっと指を指した方向

「電車きたみたい」と。

4

麗美と健二は駅前の商店街へきていた。
僕はめずらしく機嫌が悪くて、ため息をわざとらしくついてみせる。

「どしたの?」

麗美の気遣いの言葉に健二は麗美をにらむ。

「「どしたの?」じゃない!なにが「わたし朝は低血圧なの」だよ。走れないからおんぶしてとか意味わからないし!」
「え〜ホントだからしょうがないじゃん」
「僕はそれよりも学校に行く気がなさげな麗美ちゃんに怒っているんだよ。おかげで僕も学校さぼっちゃったし」

そうなのだ。やっとこさ電車に乗ったぼくは発射ベルの音を聞きながら隣にいる麗美ちゃんに文句をいおうと。
あれ?いない…と思っていたら窓越しの外から手を振っているのは麗美ちゃん。

「んでも結果オーライってやつじゃない」
「いい結果なんてひとつもなかった気がしますが」
「そういや私って健二のお父さんみたことないな」
「なにをいきなり…」
「だってそうでしょ。家に遊びにいってもともえさんしかいないでしょ?」
「あのね。学校さぼってなにしようと考えているのかな?」
「おい、おまえ」
「ねぇどんなお仕事してる人なの?」
「おい、話を」
「なんで学校さぼってまで――」

と、体が後ろへ引っ張られる。
お尻に衝撃が走る。肩を引っ張られたおかげでバランスが崩れたみたいだ。

「………ケンジだな」

男は喧嘩なれしてそうな強面の巨漢だった。

5

細い路地裏をとおったところの突き当たり。廃ビルみたいだ。全体的に薄暗い場所。
大型車両がとまれるくらいの広さがありそこに男達はいた。

「うわっ!!」

健二はいきなり壁に叩きつけられた。

「なにすんのよ突然!」

叫びにも似た声をあげる麗美は勝手について来たみたいだ。
警察呼んで欲しかったんだけど…。

「いったいなんなんだこの女は!」

僕は頭を打ったせいか意識も朦朧としてきた。

「松田と梅田はこの女の相手でもしてやれ。この坊やにこのあいだの借りを返してから俺もいくからよ」
「うへへ。そ、そういうことなら先に楽しませてもらうぜ」
「さぁてこの間は手を抜いてしまってすまなかったな。」
「やめて!離しなさいよ」

体が急に宙に浮く。襟をつかまれたようだ。
しばしその格好のまま時が止まる。

「こいつ」

つばを飲み込む音。

「気絶してやがる」

6

「いやだっていってるでしょう!放してよ!」

細い路地を歩く影三つ。

「ったくうるせい女だな」
「同感。でもよーもうすぐその口は…」
「まったく…この間俺にボロクソに負けたくせに懲りてないっぽいね」
「なんだと!?」
「誰だ!」

角から出てきたのは健仁だった。

「霧島健二!?」

一番びっくりしたのは麗美だった。

「まさか竹田が…」
「負けた、のか?」

友達がそこにいるかのように歩み寄る健仁。
麗美を盾にしているが、麗美と健仁との距離は手がにぎれるその距離にまで近づく。

「この野郎!調子に乗るなぁ!」

麗美が前へ突き飛ばされ健仁がすかさず支える。そこへ、 上から振り下ろされた拳が――

「――がはっ」

なにをしたのかわからなかっただろう。
健仁は相手の勢いそのままに手首をひねって投げてしまったのである。

「跳んでなかったら折れてたな」

健仁は不敵な笑みを浮かべ残りの一人に歩み寄る。

「ちっ」

梅田はさらに奥の路地に逃げていった。

「逃がさねーよ」

健仁が追う。

その光景を呆然とみていた麗美も

「…あ。待って!置いていかないでよ」

みなが走った先はどこか見覚えのある場所だった。

7

「ど、どこに…いったの…かしら」

呼吸を荒げビルの角を曲がる。
そこには――。

「あ…」

ついさっきまで逃げていた男と最初の筋肉質の男が仲良く眠っていた。
そして、

「霧島健二!」

二人と少し離れたところにうつぶせで倒れている健二をみつけ駆け寄る。

「大丈夫?ねぇ起きてよ!」
「うーん…」
「あ、気づいた?」

健二はあたりを見回すと、

「すごいね麗美ちゃん!」
「へ?なにが」
「だって一人でこの人達倒しちゃったんでしょ?見直しちゃったよ〜」
「よくわからないけど一人で倒してたわね。・・・とりあえず!」

麗美が健二の手をひっぱる。

「早くここから出ようよ」


8

健二と健仁はいつ出会うのでしょうか
明日かもしれませんしずっと会わないかもしれません
でも双子である彼らはきっと引かれ合い出会うことでしょう。



あとがき

えー数年前に書いた小説をほとんどそのまま載せてみました。
視点も1人称だったり3人称だったりとめちゃくちゃですがストーリーはもっとめちゃくちゃですorz
出来は悪いですがこうやって昔の作品をひとつひとつ終わらせていけたらなぁと思います。


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