にゃんとフレンド




海が見える丘を登るとそこは別荘だった。
周りは草木が生い茂り、ちょっとした森みたいで小さな頃からずっと行ってみたい場所のひとつだった。

「陽太郎をお願いします」

僕とお母さんが頭を下げる。

「いえいえ。唯美ちゃんも喜んでますし、こちらこそ」

と唯美おねぇちゃんのお父さんも頭を下げる。

「唯美は別にはしゃいでるわけじゃないんだからね」

といつもお姉さんぶっている唯美ねぇちゃんが少しばかりムッとする。

「唯美。陽太郎君を部屋に案内して差し上げなさい」
「はーい。陽太郎ちゃんとついてくるのよ!」
「わかってるよ」
「陽太郎。お母さん達少しおしゃべりしてくるからね」
「はーい」

僕達は分かれた。





姓は水島、名は陽太郎。お母さんと二人っきりで暮らしている。
僕が今いる別荘は親同士の付き合いで二年前からつれてこられているが、親は親同士、子は子供どうしそれ以前から知っているみたいだ。
唯美ねぇちゃんは小学6年生で、僕は小学5年生。
同じ小学校だからみたことはあるかもしれない。

「んじゃ、陽太郎。あとで庭で待っててね」
「あ、うん。あとでね」

思考を中断して、僕は先に庭で待ってることにした。





空が青い。海も青い。でもつまらない。
なにをするつもりかしらないが唯美ねぇちゃんが来るのが遅くてひましている。
今ちょうど3時くらいだと思う。

「おなかすいたなぁ」

ふと、森のほうへ視線を向けたそのとき

「………」

僕の視線はそこで止まる。
そして、小学3,4年生くらいの女の子が森の入り口で固まっている

「あ…」

僕は無意識のうちに立ちあがり、彼女のほうへいこうとしたが。

「………!」

森の中へ入っていく彼女。

「………」

人の敷地に入ったから怒られると思ったのかなぁ。
おと、漠然と考えてから。

「なにも言わずに逃げるなよな!」

と、彼女のあとを追って走り始めた





どのくらい歩いたのだろうか。
彼女の姿はいっこうにみえない。

「もう帰ろうかなぁ…」

彼女を追いかけ始めてからすでに30分。好奇心もすっかりなくなり帰り道がわからなくなったことに気づき始めたとき。

「にゃ〜」

すぐ近くでネコのような泣き声がした。
おそるおそる近づいてみるとそこには。

「うにゃ〜〜!」

頭をおさえて痛みをおさえる女の子。

「大丈夫?」

彼女の元へと近づくと、

「…!」

一瞬ビクッとしたかと思うと頭を――頭についているネコミミ(?)を押さえて身を縮める。

「ぶ…ぶたないでくださーい」

彼女はかなりおびえていた。






「へー、君はお母さん探してここに来たんだ」
「ハルカって名前です」
「ハルカって呼んでいいよね」
「うん」

僕らは歩きながら話をする。
いくところも考えず草木をかきわけて入っていく。

「あれ…?」

突如、僕らの目の前に海がみえ――

「うわあぁぁぁあ!」すぐ足元にはほぼ垂直な崖が。地面が消えていた。
「あわわわわわわ…」
ハルカもそれに気づいたらしく一生懸命バランスをとっている。
足に力が入らない。僕らは後ろへ倒れこんだ。

「………………」

しばらくお互いに無言でたたずむ。

「帰ろっか…」
「…うん」

僕らは心臓をバクバクさせながら来た道を戻ってゆく。

「しかしあぶなかったね!」

あの興奮が忘れられなくて帰りながらその話題が続く。
ふと、ハルカが耳をピンとのばして立ち止まる。

「どうしたの?」

がさがさがさ・・・

「だれ?」

草木を掻き分けてくる何か。
こんな森の中だ、なにがいるかわからない。

「に。逃げよう」
「僕はハルカの手を取って走り出した、瞬間。
「うわ!?」

僕は誰かが彫った落とし穴におちてしまったみたいだ。

「いたた…」

けっこう深くて1mくらいもある。

「にゃ〜」

ネコの声にあたりを探すと、親ネコが僕と一緒の穴にいた。
穴の上で子猫が「にゃあにゃあ」と鳴いている。

「・・・なんだ」

あの音の正体は子猫だったのかな? 僕はほっとして胸をなでおろす。
しかしこの穴のほうへまだなにかが近づいてくる。
反射的にみつからないように穴の中で丸くなる。
そして、穴の前で音が止まる。
子猫が「にゃあ〜」と人懐っこい声をあげる。

「陽太郎?なにしてるの」
「・・・あれ?唯美ねぇちゃん」

そう声の主は僕を探しにきた唯美ねぇちゃんだった。

「こんなところでなにして遊んでいるの?あんた馬鹿?」

すこしばかしムッとして気付く。

「あれれ?ハルカちゃんどこいったか知らない?」
「ハルカちゃん?」

僕は思ったことを素直に聞いた。

「唯美おねぇちゃん。そこに女の子がいない?」

僕を引っ張りながら

「え?私が来たときは誰もいなかったけど。・・・いるのは」

そういった目線の先には子猫と親ネコが再会の声を上げながら体をこすりつけ合っている。

「………」
「まぁいいや」

そういってバトミントン片手にほっぺを強めにつまんでくる。

「1時間くらい遊んだらバーベキューの準備をはじめるからてつだってよ!」

僕は不思議な少女ハルカとまた会えることを祈りつつ、唯美ねぇちゃんとともにこの夏休みは過ぎてゆく。





あとがき

たまにはこんな話を書いてみようかと思い執筆。
ほのぼのした話が書きたかっただけですが、なぜかネコミミ少女が。
それでも私にしてはずいぶんとまともな作品になったなーという感じはします。
いつか修正して、もっと読みやすいように構成しなおしたいと思います。

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